高粗利経営への道

中小企業経営者、リーダー、創業者向けの役立つ情報を提供します

値上げ

顧客にとって、価格の安さは大きな魅力でしょう。

今でもまだ大手は安売りを目玉としているので、そのしわ寄せが中小企業に圧し掛かり、逃がしてくれません。

しかし将来を考えると、このままで立ち行くはずがなく、その場しのぎでしかないのが現状でしょう。

人件費、運送費など、経費は上昇が確実なのですから。

そうすると値上げするしかないのですが、ほとんどの企業はやり方が分からないようです。

すぐにイメージするのは、怒られて取引を切られる恐れです。

理想の値上げは、相手にとっても顧客にとっても喜ばれるものです。

やり方も、頭を下げてお願いするしかないと思い込んでいる経営者が多いようですが、それでは通常は難しいでしょう。

なぜなら、取引先の担当者は仕入の値上げを要請されて承認するには会社としての合理的な理由を求めるからです。

値上げを要求したら、取引先の担当者は必ず聞いてくるでしょう。

何故、今? 理由は? 自助努力はしたのか? 相場は?などなど、合理的な理由を聞いてきます。

だから値上げを要請する場合には戦略が必要です。

相手を知り、どうやったら通るのか、材料を揃え、段階を踏んで交渉に当たらないとなかなか成功しないでしょう。

 

人手不足

中小企業での人手不足が顕著になってきているのは、周知のとおりである。

当たり前なのだが、勘違いしやすいのは、給料が上げられないから人が集まらないと思い込んでいることだ。

逆に考えてみればわかるが、給料の高さに引かれてきた者は、すぐに給料の高い会社へ転職する可能性が高いという現実がある。

給料が2倍になれば、人は2倍働くわけではない。

だからと言って、給料が低くても良いというわけではない。

給料は積極的にやる気を出させるものではないが、低いと感じると途端にやる気を失う衛生要因なのだ。

会社が人を引き付けるために、働く環境を整える動きが出てきている。

働きやすさもあるが、働き甲斐をまずは考えたい。

ビジョンに共感してくれる人を集めれば、一緒に夢実現に向けて戦う同士になってくれる。

ただその場合、社長は自分だけのビジョンを従業員に押し付けるだけではいけない。

最初は社長自分だけのビジョンであっても、共感して集まってくれた人たちとビジョンを分かち合うことが大切である。

そして、付いて来いというリーダーシップより、大きなビジョンという方向性や軸が決まったなら、従業員個々を支えるという、サーバントリーダーシップが今の時代はしっくりくるようだ。

方向性や最終の決定は社長なのだから、それらに合意してくれる従業員なら、過程はかなりのびのびとやらせてみる方がいい。

今までは、数字や成果の管理をしていたが、これからはやる気の管理(気配り)が必要になる。

マッチング

トランスフォーメーション思考では、外部リソースの積極的活用を推奨している。

中小企業は、自社の経営リソースであるヒト・モノ・カネ・技術が不十分なためである。

新事業開発では、ビジョンを明確にして、どうやったら達成できるのか考えることになるが、自社の経営リソースだけだと、すぐにあきらめてしまうことも、外部リソースを活用できるとなると、一気に可能性が高まってくる。

つまり他社とのマッチングが有効なのだ。

マッチングで一番大事なことは、ビジョンに共感してくれる相手かどうかである。

そして、自社の強みと相手の強みをかけ合わせて、シナジーを創ることを必死で考えることだ。

マッチングありきだと、お互いがその時に連携可能なリソースだけ持ち寄ってビジネスを始めてしまうことが良くある。

これは、シナジーではなく、妥協であり、大きなビジネスにはならない。

強みをかけ合わせ、大きく革新的なビジネスを創り出そうと、最初からプロセスを合意しておくことが要となるだろう。

マッチングは、ビジョンに共感し合う愛称だけでなく、その後のプロセスの合意も含めるべきである。

新事業の選び

新事業開発を進めていくと、いくつもの新事業アイデアが候補として頻出してくる。

しかしどこまで考えればよいのか、どれを選択するのが良いのか、が難しい。

適切な新事業候補を選出する場合、注意しなければいけないのは、次の3つであろう。

1つは、視野が狭くなっていないか? である。

今考えている事業が良いか悪いかだけで判断しがちですが、そのまま通用するビジネスアイデアなどないことを想定すると、もっと良くするには?もっと問題を解決するには?などと、そのアイデアを広げた場合の可能性まで考える必要がある。

次は、自分やチームの考え方や発想の根本に、自由に大きく広く考えることを邪魔している余計なバイアスがかかっていないか? である。

ビジョンを軸にするなら良いのだが、自然と壁を作って考えている場合がある。良くあるのは、自社の経営資源を基盤にして考えてしまうことである。優秀な人材がいない、金もない、技術もないなど、現状でできる範囲内で思考が止まってしまうことである。

協力者や連携先が必要な経営資源を持っていれば、解決することも多い。

最後に、思考の停止および迷走である。良い事業アイデアが出たところで満足して、考えを止めてしまうことがある。また、いくつかのアイデアが出たが、どう決めて良いのかわからず、頭が混乱して決められないこともある。全く違うようにも見えるが、根本は、正しい新事業開発の手順を踏んでいくことで、解決できる。

考え不足や根拠名のない自信過剰、そして思考の堂々巡りや思考停止を防ぐためにも、何となく進めるのではなく、まずは新事業開発のプロセスを理解し、計画的に進めるべきでしょう。

 

新事業の発想手順

新事業開発の過程では、いろいろなビジネスアイデアが噴出してきます。

直感で、いけそうかいけなさそうか、すぐに判断するのは禁物です。

やり始めたころは、既存ビジネスや業界の常識的なものが、思考のベースに残っており、発想する枠が広がっていない可能性が高いからです。

まずは、自分の発想の限界やクセを理解し、それらを外すことを試みた方が良いでしょう。

普通でやると、全く不可能に思えることを発想することを避けてしまいます。

たとえば、宇宙で暮らすとか、世界で一番の会社になるとか、あまりに飛躍したことを言い出すと収拾がつかなくなる恐れと不安で、自然と抑えにかかってしまうのではないでしょうか?

トランスフォーメーション思考では、極端でも広げるだけ広げることを勧めています。

一番の理由は簡単で、面白いアイデアが出やすいからです。

そして、普通のアイデアでも不可能に見える極端なアイデアでも、そのまま使えることはほとんどなく、実現実行可能なレベルに落とし込む必要があるからです。

普通のアイデアは、顧客に響くものがなかったり、競合と差別化できなかったり、すぐに真似されそうだったり、とそれを克服するには、相当大変です。

極端だが、尖っていて、面白いアイデアは、それだけで貴重で、収益化や実行可能なものに仕上げるの大変ですが、比較的、システマティックに進めることができます。

コンセプトや軸がブレないものであることは大切です。

普通のアイデアを昇華させるのと、卓越したアイデアを実現可能な形に落とし込むのでは、あらゆる面でプロジェクトの精度やチームのやる気度が違ってくるのは当然なのです。

ビジネスモデルの重要性

ビジネスモデルとは、一言でいうと、どうやって稼ぐかということでしょう。

今のビジネスモデルでは、なかなか稼げなくなっている中小企業も多いはずです。

値上げをできればいいのですが、下請け度合いが高いところや価格が市場や競合と比べられるようなところは、難しい場合があります。

その場合、ビジネスモデル自体を練り直すまたは創り直して、稼ぐ仕組みに革新させていくことが有効です。

しかし、現代では、単純なビジネスモデルや事業構造では簡単には稼がせてはもらえません。

単に仕入れてそのまま販売するとか、流行っているものを少しアレンジして作ってみるだけでは十分ではありません。

稼ぐ仕組みを十分に検討し、簡単に真似されない工夫、そして顧客の興味を引き付ける仕掛けが必要です。

簡単なのは、強みを持つ要素を、3つ以上かけ合わせることでしょう。

突出した2つの強みなら大丈夫かもしれませんが、今の時代は3つ以上でないと、すぐに真似されたり、それ以上の商品やサービスで対応されるでしょう。

稼ぐ仕組みは、利益率を高く設定できるか、絶対額(規模)が大きいか、リピートできるかで、とことの考えます。

まずは稼ぐ仕組みありきでしょう。

そうは言うものの、実際の新事業開発の現場では、行きつ戻りつでブラッシュアップを続けることとなります。

中小企業が新事業を見つけるコツ

中小企業と大企業の違いは、経営資源の規模と質の差ではないでしょうか?

ヒト・モノ・カネ・技術といった切り口でも、明らかに不足している面が大きいのが中小企業と言えるでしょう。

そんな状況下では、世の中にない商品やサービスをゼロから創り出していくのは非常に難しいと言えます。

社長や一部の社員が超人的な場合を除き、仕組みで新事業を創り出していくのは簡単ではありません。

しかし中小企業の場合、もっと柔軟に新事業をとらえても良いと思います。

経営革新計画での新事業の捉え方は、世の中で既にある事業でも、自社が初めて挑戦する事業なら新事業とみなします。

それくらいの気楽さで、何か全く新しいものを創り出そうというのではなく、既に存在する事業をそのまま導入したらどうだろうか?

少しアレンジしららどうだろうか?

自社の経営資源に合わせたり、自社の顧客に合わせたりしたらどうだろうか?

イノベーション思考ではなく、少しだけ工夫を加えてみる「ミノベーション思考」が中小企業には合っています。

ただし重要なのは、事業規模と実行可能性です。

少なくても数千万円規模のビジネスがすぐに立ち上がるのかがポイントとなります。

新ビジネスの種を見つけることも大事ですが、育てることはもっと重要です。

試してみないとわからないのなら、どんどん試してみるべきでしょう。

もちろんその時のリスクは考えましょう。